佐々木宏明の法律ニュース

2020年7月 1日 水曜日

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投稿者 アスター法律事務所 | 記事URL

2013年2月 5日 火曜日

最高裁判所判決ー将来給付の訴えの請求適格を有しないものとされた事例・つづき4ー

補足意見では、以下のように締めくくっています。


「4 ところで,本件の法廷意見は,昭和63年第一小法廷判決を引用して,共有者の1人が共有物である本件の駐車場を第三者に賃貸して得る駐車場収入につき,その持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち,事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,その性質上,将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しない旨を説示している。これは,本件が昭和63年第一小法廷判決と事案が類似していること,特に駐車場の賃料が不当利得返還請求権の対象となっていることから,事案の内容を詳細に判示する必要がないため,簡潔な表現で判断を示したものと解することができる。しかしながら,将来的には,将来の給付請求を認める適格について,昭和63年第一小法廷判決が上記①を射程としているという理解を前提にして適格を肯定する範囲が不当に狭くなるということがないように,それにふさわしい事案が係属し,その処理がされる際には,上記②を射程としていることが明らかとなるように当審の判断を示す必要があるものと考える。」


②の場合というのは、①持分割合を超える賃料部分の不当利得返還を求める将来請求の場合を述べたものとする理解に加え,当該賃料が駐車場の賃料であるという賃料の内容・性質をも含んだ事例についての判断であるとする理解のことですから、将来的には、居住用家屋の賃料であるか、建物の敷地の地代であるか、駐車場の賃料であるか、それらはどのくらい継続的に発生するかといった具体的事情を踏まえて判断されなければならないことが示されることになると思われます。


最高裁判所平成24年12月21日第二小法廷判決ー将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例・おわりー

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2013年2月 5日 火曜日

最高裁判所判決ー将来給付の訴えの請求適格を有しないものとされた事例・つづき3ー

補足意見は結論として以下のように述べています。


「3 私としては,上記①の理解はいささか射程が広すぎるように思う。すなわち,居住用家屋の賃料や建物の敷地の地代などで,将来にわたり発生する蓋然性が高いものについては将来の給付請求を認めるべきであるし,他方,本件における駐車場の賃料については,50台程度の駐車スペースがあり,これが常時全部埋まる可能性は一般には高くなく,また,性質上,短期間で更新のないまま期間が終了したり,期間途中でも解約となり,あるいは,より低額の賃料で利用できる駐車場が近隣に現れた場合には賃借人は随時そちらに移る等の事態も当然に予想されるところであって,将来においても駐車場収入が現状のまま継続するという蓋然性は低いと思われ,その点で将来の給付請求を認める適格があるとはいえない。いずれにしろ,将来の給付請求を認める適格の有無は,このようにその基礎となる債権の内容・性質等の具体的事情を踏まえた判断を行うべきであり,その意味でも昭和63年第一小法廷判決の射程距離については,上記②の理解に立つべきである。」


このように述べ、当該不当利得返還請求権の発生の基礎となる事実関係・法律関係が将来も継続するものかどうかを具体的事情に基づき判断しています。当該不当利得返還請求権の内容・性質,すなわち,その発生の基礎となる事実関係・法律関係が将来も継続するものかどうかといった事情が最重要であると考えているからです。


そして、住居用家屋の賃料と50台程度の駐車スペースがある駐車場の賃料を比較してその将来的な確実性を検討しています。


ーつづくー

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2013年2月 5日 火曜日

最高裁判所判決ー将来給付の訴えの請求適格を有しないものとされた事例・つづき2ー

最高裁判所平成24年12月21日第二小法廷判決ー将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例・つづき2ー


補足意見では、この最高裁昭和63年3月31日第一小法廷判決は事例判断であることは争いがないと述べ、その射程距離を分析してしています。


そこでは補足意見は、共有土地の賃料を共有者が受領することで発生するという当該事案における不当利得返還請求権の特殊性について、第三者の意思により発生する債権か否か、債権の発生する事実関係・法律関係が将来も継続するかどうかという二つの観点から分析してその射程距離について以下のように述べています。


「そうすると,事例判断としてのこの判決の射程距離が問題になるが,この判決の理解としては,①持分割合を超える賃料部分の不当利得返還を求める将来請求の場合を述べたものとする理解(このような捉え方をしていると思われる他の最高裁判例として,最高裁平成7年(オ)第1203号同12年1月27日第一小法廷判決・民集54巻1号1頁がある。)と,②①の場合に加え,当該賃料が駐車場の賃料であるという賃料の内容・性質をも含んだ事例についての判断であるとする理解とがあり得るところである。
 このうち,①の理解によると,この裁判要旨については,将来得るべき賃料はそれが現実に受領されて初めて不当利得返還請求権が発生することから,その発生は第三者の意思等によるところ,そのような構造を有する将来請求全てに射程距離が及ぶ判断であると捉えることにもなろう。しかし,昭和56年大法廷判決の法理によって将来請求の適否を判断するためには,当該不当利得返還請求権の内容・性質,すなわち,その発生の基礎となる事実関係・法律関係が将来も継続するものかどうかといった事情が最重要であり,それを個別に見て判断すべきであるとすれば,昭和63年第一小法廷判決の射程距離については②の理解を採ることになろう。」


これに続けて結論に入ります。


ーつづくー

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2013年2月 5日 火曜日

最高裁判所判決ー将来給付の訴えの請求適格を有しないものとされた事例・つづき1ー

最高裁判所平成24年12月21日第二小法廷判決ー将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例・つづき1ー


最高裁判所平成24年12月21日第二小法廷判決には、補足意見が付されています。


将来の給付の訴えについて、将来の給付を求めることは、通常、いまだ紛争が現実化しているとはいえないことから、紛争解決の実効性を確保するため、原則として認められないが、限定的な場合には例外的に認められるというのが判例理論です。


この点について、最高裁判所平成24年12月21日第二小法廷判決の補足意見では以下のように述べられています。


「1 将来発生すべき債権に基づく将来の給付請求については,その基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し,その継続が予測されるとともに,債権の発生・消滅及びその内容につき債務者に有利な将来における事情の変動があらかじめ明確に予測し得る事由に限られ,しかもこれについて請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ強制執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても,当事者間の衡平を害することがなく,格別不当とはいえない場合に,例外的に可能となるものと解されている(最高裁昭和51年(オ)第395号同56年12月16日大法廷判決・民集35巻10号1369頁参照)。」


この部分は将来の給付の訴えに関する判例理論です。補足意見ではこれを前提に共有関係にある土地の賃料に関する最高裁判例を分析して以下のように述べています。


「これを前提にした上で,前掲最高裁昭和63年3月31日第一小法廷判決は,共有物件である土地を第三者に専用駐車場として賃貸することによって得た賃料収入に関し,相手方の持分割合を超える部分の不当利得返還を求める請求については,賃貸借契約が解除等で終了したり,賃借人が賃料の支払を怠っているようなときには,将来請求はその基礎を欠くところ,これらは専ら賃借人側の意思等に基づきされることでもあり,必ず約定どおりに支払われるとは限られない等の点から,将来の給付請求を可能とする適格を欠くとしている。」


その上で、この最高裁昭和63年3月31日第一小法廷判決は事例判断であることは争いがないと述べ、その射程距離を分析してしています。


ーつづくー

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