交通事故topics

2012年9月24日 月曜日

重傷事故の損害項目・算定方法

重傷事故の損害項目・算定方法

ある方が交通事故に遭って重傷を負ったとします。この重傷事故の被害者の損害賠償額の算定はどのようにするのでしょうか。

交通事故の損害賠償額の算定は複数の損害項目ごとに算出しこれらを合計することになります。

人身事故には死亡事故や傷害事故が含まれますが、このうち傷害事故の場合には、その損害項目には治療費、休業損害、後遺症に基づく逸失利益、入通院慰謝料、後遺症慰謝料その他があります。

まず、休業損害について、現実に休業により喪失した金額が分かる場合はその額が損害として認められ、それが判明しない場合には、

休業損害=基礎収入×休業期間

として算出します。

たとえば、年収1000万円の方が交通事故に遭って重傷を負い、2ヶ月間(60日とします)仕事を休まなければならなかった場合、現実に休業により喪失した金額が判明しなかった場合であれば、日割り計算をして収入は1日2万7000円あまりだとして、60日分およそ164万円の休業損害が発生していることになります。

しかし、これは裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)による損害額算定です。これは具体的な事情によっては柔軟に増減額されることはいうまでもありません。

これに対し自賠責保険による支払基準(自賠責基準)によると、休業損害は原則として1日5700円と定められていますから、60日分34万2000円となります。もっともこれ以上の収入減の立証で1万9000円を限度として、その実額が支払われるとされています。収入減を立証できたとしても60日分114万円となります。

さらに自賠責保険による支払基準(自賠責基準)では傷害による損害には限度額が定められ、120万円までとされています。この限度額は傷害による損害の複数の損害項目の合計額の上限です。つまり自賠責基準の場合、治療費や休業損害その他の合計金額が120万円までなのです。

これでは、先の例では裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)の休業損害だけでも、自賠責基準の限度額を超えてしまいます。

このように、傷害事故の損害額算定基準について、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と自賠責保険の支払基準(自賠責基準)とではその算定額には大きな差が発生することがよく分かると思います。特に重傷事故で何ヶ月も仕事を休まなければならなかったような場合にはその差が大きくなります。

次に、入通院慰謝料はどうでしょうか。

入通院慰謝料とは,実際のところ,傷害慰謝料を意味し,この傷害慰謝料については、入通院期間を基礎として別表を使用して算出します(いわゆる「赤い本」に基づきます)。


先の例で、重傷事故に遭い2ヶ月入院した方の場合には、別表Ⅰ(いわゆる「赤い本」に基づきます)により、101万円となります。また、傷害の部位、程度によっては、別表Ⅰの金額を20パーセントから30パーセント程度増額することになります。そうすると、重傷ですから、120万円くらいから130万円くらいのあいだとなるのではないでしょうか。

これは裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)による損害額算定です。これは具体的な事情の立証によっては柔軟に増減額することはいうまでもありません。

これに対し、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、1日4200円が支払われ、対象日数は被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して治療期間内で決められることとされています。そうすると、重傷で60日入院し完治したのであれば、60日分25万2000円となるでしょう。

このように、入通院慰謝料についても、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)とではその算定額に非常に大きな差異があります。

では、後遺症慰謝料はどうでしょうか。
たとえば、交通事故を原因として後遺症が残り、医師によりその後遺症が診断され、一定の手続きによりこれに対する後遺障害等級が第14級と認定された場合、後遺症慰謝料は110万円を基準とします(いわゆる「赤い本」に基づきます)。これは裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)による損害額算定です。この金額は具体的な事情によって柔軟に増減額されることはいうまでもありません。

これに対し、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、後遺障害等級第14級が認定された場合には、75万円が限度額とされています。
この金額は、後遺障害による損害としての限度額であり、後遺症に基づく逸失利益および後遺症慰謝料が発生した場合の合計金額の上限額です。

このように、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と自賠責保険の支払基準(自賠責基準)とでは、損害額の算定の結果に大きな違いがあることがよく分かると思います。


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2012年9月24日 月曜日

死亡逸失利益、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料、葬儀費用

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、簡潔にいえば、交通事故により死亡しなければ将来的に得られたはずの収入額のことです。
その算定方法の基本的な考え方としては、いわば後遺障害により労働能力が100パーセント失われた場合と同様のものとして捉えるとともに、現実には亡くなっているため生活費がかからなくなったことを考慮に入れます。また、逸失利益は、将来得られたはずの収入額を一時金として受け取ることになるので、将来の利息の金額を控除率という割合として差し引き計算して、現在の価値に換算します。

このようなことから、死亡による逸失利益の算定方法は、原則として、

基礎収入額(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

と計算します。

たとえば、イメージしやすい具体例で説明しますと、交通事故で死亡した被害者が事故当時47歳の男性で、妻子(被扶養者2人以上)を養っている一家の支柱(大黒柱ということが多いですが)であり、事故前年の年収が1000万円だった場合、

■死亡時(47歳)から稼働可能年数67歳まで 20年間
■これに対応するライプニッツ係数 12.4622
■妻子(被扶養者2人以上)を扶養する一家の支柱について生活費控除率 30パーセント


10、000、000×0.7×12.4622=87、235、400

逸失利益は8723万5400円となります。

8700万円以上というこの損害賠償算定額は、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)によるもので、具体的な事情の相違によっては裁判所の判断次第で柔軟に増減額されることはいうまでもありません。

これに対して、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、どうでしょうか。

この場合も、計算方法は同様ですが、死亡事故に対する保険金(死亡保険金)は3000万円が上限と定められています。この限度額は、死亡による損害である葬儀費、逸失利益、被害者および遺族の慰謝料といった損害項目の合計額の上限なのです。

このようなことから、先の例では、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)により算定された死亡による逸失利益の金額だけで、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)の死亡保険金の上限額に達してしまいます。

この例で考えると、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と自賠責保険の支払基準(自賠責基準)とでは、いかに損害賠償算定額に大きな開きがあるかが分かると思います。


死亡慰謝料

慰謝料とは、精神的損害に対する金銭賠償のことです。死亡事故の被害者本人にも、死亡したこと自体に対する慰謝料が当然に発生するとされ、原則として相続人が相続するとされています。

先の例では,裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では死亡慰謝料は一家の支柱の場合であれば,2800万円となります(平成14年1月1日以降の事故・死亡慰謝料の基準額は本人分および近親者分を含んだ金額になります)。これはあくまで一応の目安ではあります。この金額はいわゆる「赤い本」をベースにしています。

さらに、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では、死亡慰謝料に関して、加害者に飲酒運転や無免許運転、著しい速度違反、殊更な信号無視、ひき逃げ等が認められる場合その他の事情があった場合には、慰謝料の増額を考慮するなど、柔軟な損害額算定をします。

これに対し、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、死亡した被害者本人の慰謝料は、一律350万円とするとされ、遺族の慰謝料は請求者1人の場合には550万円とし、2人の場合には650万円とし、3人以上の場合には750万円とするとし、また被害者に被扶養者がいるときは、これらの金額に200万円を加算するとされています。

これらのことから、ざっと考えただけでも、死亡慰謝料の算定においては、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)によるのと、自賠責基準によるのとでは、算定される賠償額に大差があることが分かると思います。


葬儀費用

葬儀費用は裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では、原則として150万円認められますが(いわゆる「赤い本」に基づきます)、自賠責基準では、60万円、立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲で認めることとされています。

葬儀費用の算定においても、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と、自賠責基準とでは、その算定される損害賠償額に大きな差が発生することがよく分かると思います。


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2012年9月24日 月曜日

自動車事故による人身損害の賠償額の算定に関しての算定基準

自動車事故による人身損害の賠償額の算定に関しての算定基準

これには、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)、任意保険の支払基準(任意保険基準)、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)があります。

自賠責基準は、自動車損害賠償保障法施行令2条ならびに別表第1および別表第2に定める保険金額を限度として、自賠責保険金の支払いがよるべきこととされている基準です。

任意保険基準については、任意保険が人身事故の損害のうち自賠責保険の保険金を超えた賠償額について担保する保険であることに対応して定められた基準であり、その支払基準は各保険会社が独自に決定しています。

裁判所基準(裁判基準)は、弁護士基準ともいいますが、財団法人日弁連交通事故相談センターが交通事故に関する膨大な裁判例を調査・分析し、妥当な損害賠償額を導くための算定基準として公表したものです。

この3つの基準の中では、自賠責保険が強制加入の保険であり最低保障の機能を有していることから、自賠責基準が一番低額の基準であり、裁判所基準が事実上、一番高額な基準となっています。

任意保険基準は、任意保険が自賠責保険の保険金を超えた賠償額について担保する保険であることから、自賠責基準よりもある程度、高額の基準であって当然のはすです。

しかし、概していえば、任意保険基準は、自賠責保険よりは高い基準ですが、裁判所基準に比べれば、相当低い基準であるといえます。

また、任意保険会社の担当者は、被害者と示談交渉するに際し、自分が知識や経験が豊富であるのに対し、被害者には個人では妥当な損害額の算定が難しいことを利用して、しばしば、ほとんど自賠責基準と変わらないような基準や計算方法を用いて損害額を算定し、何食わぬ顔で示談金の提案をしていることが実際、見うけられるのです。

また、示談をしてしまうとあとで金額を増額することは原則としてできなくなります。


このような任意保険会社の担当者を前にして、被害者としてはどうすべきでしょうか。

被害者にとっては、交通事故に詳しい弁護士に依頼して、任意保険会社の担当者の損害額の算定が適切かどうか、チェックすることを求めるのが一番良い方法です。

まずは、当事務所にお気軽にご相談ください。交通事故に詳しい弁護士として、あなたのストレスを減らし、あなたを代理して示談交渉して、正当な損害賠償額による示談を成立させるお手伝いをいたします。


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2012年9月24日 月曜日

自賠責保険の査定額と裁判上の損害賠償算定額とは大きく異なります

自賠責保険の査定額と裁判上の損害賠償算定額とは大きく異なります


さて、任意自動車保険(任意保険)会社は、自賠責保険により支払われる金額を超過する場合に限り、その超過金額のみを填補することになります。

そして、たとえば、交通事故について、民事裁判を提起した場合には、裁判所に認められた金額を任意自動車保険(任意保険)会社は支払います。

ここで、民事交通事故訴訟(不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)を提起した場合に裁判所により認容される損害賠償金は、ほとんどの場合、自賠責保険により支払われる金額よりも高額なのです。

なぜ、自賠責保険で支払われる金額と裁判所が認容する損害賠償額は異なり、裁判所の認める賠償額のほうが高額なのでしょうか。

それには大きな理由があります。

それは、損害額算定基準に関するものです。

すなわち、自賠責保険の損害額算定基準については、自賠責保険は法律によって定められた強制加入の保険ですから、大量の保険契約が発生し、これによる大量の交通事故事件を同様の事案は同一に扱い、円滑かつ適正迅速に処理できるような統一基準による損害賠償額の算定が求められるのです。

いいかえれば、どんな保険会社であれ、加入者がどのような者であれ、個性に左右されることなく同様の事案であれば全く一律に賠償金を査定できる損害賠償額算定基準でなければならないのです。

また自賠責保険は人身事故の保障としては、事実上、最低保障としての機能を有することも見逃せません。

これに対し、裁判所の損害の算定は、事案の個性を把握して、柔軟に決めることができるのです。

たとえば、ピアニストが不運にも交通事故に遭って人差し指を失ってしまった場合にはどのように賠償金が定められるでしょうか。

まず、自賠責保険の損害額の算定基準では、このような場合、労働能力喪失率、簡潔に言えば、指を1本失ったことにより将来稼ぐことのできなくなったお金の割合は、一律に定められています。それはピアニストであれ会社員であれ同じように査定されます。

これに対し、裁判では、その人がピアニストとして交通事故の時までどれくらい稼いでいたか、人差し指を失ったことでどれくらい仕事に差し支えるか(もうピアノは弾けないか、弾けたとしても、少なくともピアニストとしてお金を稼ぐことは無理なのでしょう)、などということを具体的にかつ柔軟に考慮して賠償金額を決めることができるのです。

そうすると、民事訴訟を提起すると、裁判所に認められる損害賠償額は、自賠責保険の賠償金額よりも多くもなるし少なくもなることになりそうです。しかし、よほど例外的な場合でない限り、多くなるのが普通です。

また、当事務所にご依頼いただければ、弁護士が介入することにより、ほとんどの場合、実際に訴訟を提起しなくても、保険会社との交渉により示談で決着します。


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2012年9月24日 月曜日

自賠責保険と任意自動車保険との関係

自賠責保険と任意自動車保険との関係

一般に、ある人が自動車を運転していて交通事故を起こしたとして、このような自動車による人身事故の損害の賠償義務を填補する自動車責任保険には、自賠責保険と任意自動車保険(任意保険)があります。

ここで、自賠責保険は加入が強制される一方で、任意自動車保険(任意保険)はその名のとおり、加入は任意(自由)とされています。両者の関係はどのようなものでしょうか。

たとえば、自動車による人身事故が発生した場合、ある人が加害者だとして、この人はこの人身事故の被害者に対し損害賠償義務を負担することになります。この場合に、加害者の側で自動車責任保険の契約が締結されていれば、この加害者側任意自動車保険(任意保険)会社は、この人身事故を保険事故として契約で定められた被保険者(つまりこの場合は加害者)の賠償義務を補填することになります。

そして、自賠責保険は、自動車による人身事故によって死亡した被害者や、重傷であったり、軽傷であったりなど傷害(怪我)を負った被害者を救済するために、加害者が負うべき人身事故による損害の賠償義務を補填してその人身損害の全部または一部の賠償を受けられるようにすることを目的とします。原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられた強制保険です。

つまり、自賠責保険と任意自動車保険(任意保険)はその保険領域を同じくするものです。

より厳密には、任意自動車保険(任意保険)というものは、責任保険である対人賠償責任条項、対物賠償責任条項や、傷害保険である自損事故についての条項、物保険である車両条項その他の条項の組み合わせにより構成される複合保険商品でありますが、その内の対人賠償責任条項だけが、人身事故についての被保険者(つまり加害者)の被害者に対する賠償義務を担保する責任保険になります。このように対人賠償保険としては、自賠責保険と任意自動車保険(任意保険)は二重構造になっています。

そして、現に、任意自動車保険(任意保険)約款には、自賠責保険との分担に関して、任意自動車保険(任意保険)会社は、一回の自動車事故の損害の額が自賠責保険により支払われる金額を超過する場合に限り、その超過金額のみを填補しますという趣旨のことが定められています。

このようなことから,任意自動車保険(任意保険)は強制保険としての自賠責保険により支払われた保険金額を超える部分を担保することになります。

また,加害者が自賠責保険のほかに対人賠償責任条項のある任意自動車保険(任意保険)を締結している場合,被害者は,任意自動車保険(任意保険)に対して,自賠責保険の支払い分を含めて損害の賠償のための保険金を請求することができます。


これを任意自動車保険(任意保険)会社に対する一括請求といいます。この一括請求には一定の例外があります。

また、自動車責任保険と同様に、人身傷害保険や生命保険の場合も、その取扱保険会社による一括払いをすることが可能です。

すなわち、人身傷害保険や生命保険には、さまざまな免責条項はありますが、通常これらの保険は自賠責保険金額の支払いを念頭に置いているものではないからです。また、人身傷害保険や生命保険は、原則として人身事故に対して被保険者に責任があってもなくても保険給付がなされるものです。もちろん具体的な保険約款ごとに異なるものではありますが。

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