佐々木宏明の法律ニュース

2013年1月17日 木曜日

保証人の責任

・根保証契約がされている場合,保証人の保証債務について,保証をされている債権が元本確定期日前に譲渡されても,債権の譲受人は,保証人に対し,保証債務の履行を請求できる,ただし,当該根保証契約に別段の合意があればこの限りではない,という点について判断した最高裁判所判決があります。

・それは,最高裁判所平成24年12月14日第二小法廷判決です。

・根保証契約(ねほしょうけいやく)とは,債務者が債権者に対して現在有し、または将来有するであろう一切の債務について、保証人が債務者と連帯して保証すること。通常の保証債務は、被保証債務が弁済等によって消滅すれば保証債務も消滅する(保証債務の付従性)が、根保証債務にはこのような付従性がない。そのため、債務者に過重な負担を強いることになるおそれがある(日本司法支援センター法テラス法律関連用語集より)。

・この裁判例(最高裁判所平成24年12月14日第二小法廷判決)では,以下のように判示しています。

「根保証契約を締結した当事者は,通常,主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し,当該債務の弁済期が到来すれば,当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように,保証期間の定めがある場合には,保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても,保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し,被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。そうすると,被保証債権を譲り受けた者は,その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても,当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り,保証人に対し,保証債務の履行を求めることができるというべきである。 」

・この裁判例(最高裁判所平成24年12月14日第二小法廷判決)では,当該根保証契約書の記載文言に沿った合理的医師解釈という見地に立って,保証期間の満了日の翌日を元本確定期日ととらえ,この期間内に発生していた個別の債務は,その都度保証人が保証しなければならず,債権譲渡があっても債権の譲受人が同保証債務の履行を請求できるという内容の契約であったことを踏まえて判断していることになります。

・この裁判例(最高裁判所平成24年12月14日第二小法廷判決)では,根保証の随伴性の問題について補足されています。

「上告人は,本件根保証契約を根抵当権と同じように捉えるべきであり,元本確定期日前にAから譲渡された債権については保証人としての責めを負わないにもかかわらず,上告人に保証人としての責めを負わせることになる原審の結論が上告人の予測に反する結果を招来する旨の主張をする。もとより,根保証契約については,契約自由の原則上,別段の合意により保証債権に随伴性を生じさせないようにすることも自由であり,したがって,例えば,根保証契約において,主たる債務の範囲に含まれる債務のうち,元本確定期日の時点で主債務者が当初の債権者に対して負う債務のみについて保証人が責めを負う旨の定めを置いておけば,その定めは,法廷意見における「譲受人の請求を妨げる別段の合意」と解されて,そのとおりの効力が認められるというべきである。
 しかるところ,・・・。
このような本件根保証契約書上に記載された文言からすれば,主たる債務の範囲に含まれる債務のうち,元本確定期日の時点で主債務者たるBが当初の債権者たるAに対して負う債務のみについて保証人としての責めを負うとの趣旨はうかがい得ない。」

・根抵当権の場合と対比し,根保証契約は契約自由の原則に従い,保証債権に随伴性を生じさせることも生じさせないことも自由なのだから契約書に記載しておけばその効力が認められるということが重要ですね。


投稿者 アスター法律事務所