交通事故topics

2012年9月24日 月曜日

死亡逸失利益、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料、葬儀費用

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、簡潔にいえば、交通事故により死亡しなければ将来的に得られたはずの収入額のことです。
その算定方法の基本的な考え方としては、いわば後遺障害により労働能力が100パーセント失われた場合と同様のものとして捉えるとともに、現実には亡くなっているため生活費がかからなくなったことを考慮に入れます。また、逸失利益は、将来得られたはずの収入額を一時金として受け取ることになるので、将来の利息の金額を控除率という割合として差し引き計算して、現在の価値に換算します。

このようなことから、死亡による逸失利益の算定方法は、原則として、

基礎収入額(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

と計算します。

たとえば、イメージしやすい具体例で説明しますと、交通事故で死亡した被害者が事故当時47歳の男性で、妻子(被扶養者2人以上)を養っている一家の支柱(大黒柱ということが多いですが)であり、事故前年の年収が1000万円だった場合、

■死亡時(47歳)から稼働可能年数67歳まで 20年間
■これに対応するライプニッツ係数 12.4622
■妻子(被扶養者2人以上)を扶養する一家の支柱について生活費控除率 30パーセント


10、000、000×0.7×12.4622=87、235、400

逸失利益は8723万5400円となります。

8700万円以上というこの損害賠償算定額は、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)によるもので、具体的な事情の相違によっては裁判所の判断次第で柔軟に増減額されることはいうまでもありません。

これに対して、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、どうでしょうか。

この場合も、計算方法は同様ですが、死亡事故に対する保険金(死亡保険金)は3000万円が上限と定められています。この限度額は、死亡による損害である葬儀費、逸失利益、被害者および遺族の慰謝料といった損害項目の合計額の上限なのです。

このようなことから、先の例では、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)により算定された死亡による逸失利益の金額だけで、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)の死亡保険金の上限額に達してしまいます。

この例で考えると、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と自賠責保険の支払基準(自賠責基準)とでは、いかに損害賠償算定額に大きな開きがあるかが分かると思います。


死亡慰謝料

慰謝料とは、精神的損害に対する金銭賠償のことです。死亡事故の被害者本人にも、死亡したこと自体に対する慰謝料が当然に発生するとされ、原則として相続人が相続するとされています。

先の例では,裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では死亡慰謝料は一家の支柱の場合であれば,2800万円となります(平成14年1月1日以降の事故・死亡慰謝料の基準額は本人分および近親者分を含んだ金額になります)。これはあくまで一応の目安ではあります。この金額はいわゆる「赤い本」をベースにしています。

さらに、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では、死亡慰謝料に関して、加害者に飲酒運転や無免許運転、著しい速度違反、殊更な信号無視、ひき逃げ等が認められる場合その他の事情があった場合には、慰謝料の増額を考慮するなど、柔軟な損害額算定をします。

これに対し、自賠責保険の支払基準(自賠責基準)では、死亡した被害者本人の慰謝料は、一律350万円とするとされ、遺族の慰謝料は請求者1人の場合には550万円とし、2人の場合には650万円とし、3人以上の場合には750万円とするとし、また被害者に被扶養者がいるときは、これらの金額に200万円を加算するとされています。

これらのことから、ざっと考えただけでも、死亡慰謝料の算定においては、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)によるのと、自賠責基準によるのとでは、算定される賠償額に大差があることが分かると思います。


葬儀費用

葬儀費用は裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)では、原則として150万円認められますが(いわゆる「赤い本」に基づきます)、自賠責基準では、60万円、立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲で認めることとされています。

葬儀費用の算定においても、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)と、自賠責基準とでは、その算定される損害賠償額に大きな差が発生することがよく分かると思います。


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投稿者 アスター法律事務所