交通事故topics

2012年9月24日 月曜日

自賠責保険の査定額と裁判上の損害賠償算定額とは大きく異なります

自賠責保険の査定額と裁判上の損害賠償算定額とは大きく異なります


さて、任意自動車保険(任意保険)会社は、自賠責保険により支払われる金額を超過する場合に限り、その超過金額のみを填補することになります。

そして、たとえば、交通事故について、民事裁判を提起した場合には、裁判所に認められた金額を任意自動車保険(任意保険)会社は支払います。

ここで、民事交通事故訴訟(不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)を提起した場合に裁判所により認容される損害賠償金は、ほとんどの場合、自賠責保険により支払われる金額よりも高額なのです。

なぜ、自賠責保険で支払われる金額と裁判所が認容する損害賠償額は異なり、裁判所の認める賠償額のほうが高額なのでしょうか。

それには大きな理由があります。

それは、損害額算定基準に関するものです。

すなわち、自賠責保険の損害額算定基準については、自賠責保険は法律によって定められた強制加入の保険ですから、大量の保険契約が発生し、これによる大量の交通事故事件を同様の事案は同一に扱い、円滑かつ適正迅速に処理できるような統一基準による損害賠償額の算定が求められるのです。

いいかえれば、どんな保険会社であれ、加入者がどのような者であれ、個性に左右されることなく同様の事案であれば全く一律に賠償金を査定できる損害賠償額算定基準でなければならないのです。

また自賠責保険は人身事故の保障としては、事実上、最低保障としての機能を有することも見逃せません。

これに対し、裁判所の損害の算定は、事案の個性を把握して、柔軟に決めることができるのです。

たとえば、ピアニストが不運にも交通事故に遭って人差し指を失ってしまった場合にはどのように賠償金が定められるでしょうか。

まず、自賠責保険の損害額の算定基準では、このような場合、労働能力喪失率、簡潔に言えば、指を1本失ったことにより将来稼ぐことのできなくなったお金の割合は、一律に定められています。それはピアニストであれ会社員であれ同じように査定されます。

これに対し、裁判では、その人がピアニストとして交通事故の時までどれくらい稼いでいたか、人差し指を失ったことでどれくらい仕事に差し支えるか(もうピアノは弾けないか、弾けたとしても、少なくともピアニストとしてお金を稼ぐことは無理なのでしょう)、などということを具体的にかつ柔軟に考慮して賠償金額を決めることができるのです。

そうすると、民事訴訟を提起すると、裁判所に認められる損害賠償額は、自賠責保険の賠償金額よりも多くもなるし少なくもなることになりそうです。しかし、よほど例外的な場合でない限り、多くなるのが普通です。

また、当事務所にご依頼いただければ、弁護士が介入することにより、ほとんどの場合、実際に訴訟を提起しなくても、保険会社との交渉により示談で決着します。


「交通事故問題」のページに戻る


投稿者 アスター法律事務所